任せ方を間違えたと思ったことがあります。
随分前の出来事ですが、本人が十分に育っていない段階で、目の前にいる社員を抜擢したことがありました。
そのときは、やるしかないと思いました。
任せられる人がいないからといって、いつまでも立ち止まってはいられないと考えたのです。
結果は上手くいきませんでした。
現場で光っていた人をいきなりマネージャーにする。
営業経験がない人に、営業マンの役割を求める。
本人の気持ちをしっかり確認せず、会社の都合で役割を変える。
これでは本人がまず苦しくなり、会社も期待した成果が得られない。
結果としてその人を潰してしまうことになりました。
これは私自身の反省です。
勿論任せることは大切です。
私は基本的に、任せられることは任せていきたいと思っています。
結果によっては会社が傾くようなケースでない限り、社員が主体となって考え、動いていけばいい。
そして判断に迷ったときは、経営理念に立ち返ればよいのです。
会社として何を大切にし、どうあるべきなのか、そこを考えれば、社長にいちいち聞かなくても判断できることはたくさんあります。
ただし、任せるためには、その前に人を育てなければなりません。
会社を大きくしたいという思いが先に立つと、売上や拠点数、事業展開に目が向きます。
しかし、会社の成長は、社員の成長を飛び越してはいけません。
例えば前年比200%を達成したとしましょう。
凄い数字ですが、その成長に人がついてこなければどこかで無理が生じます。
新しい人を採用し、理念を理解してもらい、仕事も覚えてもらい、その人に任せられるまで育てるには相応の時間が必要です。
経営理念まで十分に理解している即戦力の採用などあり得ません。
だからこそ、任せる前に、会社として何を大切にしているのかをしっかり時間をかけて、理解させねばならないのです。
任せようと思っている人が、どのポジションなら力を存分に発揮できるのか、どこまで支えてどこから任せるべきなのか、それらを見ながら段階を踏むことが、真の社員教育と云えるでしょう。
人が育っていない段階で、無理に事業を広げることは慎まねばなりません。
創立100周年に向け、社員が主体となって動く会社にしたいという思いは変わりません。
そのためには、任せる前に育てねばなりません。
人が育って初めて事業が伸びる、この順序を誤ってはいけません。