紺野道昭通信

Ⅲ.人と組織を深く掘る③ 人が育つ前に、事業を広げてはいけない(定期発信-Vol.251)

任せ方を間違えたと思ったことがあります。

 

随分前の出来事ですが、本人が十分に育っていない段階で、目の前にいる社員を抜擢したことがありました。

そのときは、やるしかないと思いました。

任せられる人がいないからといって、いつまでも立ち止まってはいられないと考えたのです。

 

結果は上手くいきませんでした。

現場で光っていた人をいきなりマネージャーにする。

営業経験がない人に、営業マンの役割を求める。

本人の気持ちをしっかり確認せず、会社の都合で役割を変える。

 

これでは本人がまず苦しくなり、会社も期待した成果が得られない。

結果としてその人を潰してしまうことになりました。

 

これは私自身の反省です。

勿論任せることは大切です。

私は基本的に、任せられることは任せていきたいと思っています。

結果によっては会社が傾くようなケースでない限り、社員が主体となって考え、動いていけばいい。

そして判断に迷ったときは、経営理念に立ち返ればよいのです。

会社として何を大切にし、どうあるべきなのか、そこを考えれば、社長にいちいち聞かなくても判断できることはたくさんあります。

 

ただし、任せるためには、その前に人を育てなければなりません。

 

会社を大きくしたいという思いが先に立つと、売上や拠点数、事業展開に目が向きます。

しかし、会社の成長は、社員の成長を飛び越してはいけません。

例えば前年比200%を達成したとしましょう。

凄い数字ですが、その成長に人がついてこなければどこかで無理が生じます。

 

新しい人を採用し、理念を理解してもらい、仕事も覚えてもらい、その人に任せられるまで育てるには相応の時間が必要です。

経営理念まで十分に理解している即戦力の採用などあり得ません。

だからこそ、任せる前に、会社として何を大切にしているのかをしっかり時間をかけて、理解させねばならないのです。

任せようと思っている人が、どのポジションなら力を存分に発揮できるのか、どこまで支えてどこから任せるべきなのか、それらを見ながら段階を踏むことが、真の社員教育と云えるでしょう。

人が育っていない段階で、無理に事業を広げることは慎まねばなりません。

 

創立100周年に向け、社員が主体となって動く会社にしたいという思いは変わりません。

そのためには、任せる前に育てねばなりません。

人が育って初めて事業が伸びる、この順序を誤ってはいけません。